からくりサーカス43巻を読んでいる間ずっと泣いていた

もとい、からくりサーカスは「変わって」いく物語


 この文章は、大きなネタバレをしません。
 未読の方に紹介することを前提にしたものなので致命的なネタバレは勿論ですが、魅力的で多彩なキャラの紹介はしません。
 どの展開もキャラクターもネタバレに溢れているからです。
 ただ、アニメ派の方は些細な説明も今後のネタバレに繋がりかねないので、この文章を読まない方がアニメを楽しめると思います。
 また、ちょっとのネタバレにも触れたくない方は読むのを止め、是非からくりサーカスをお読みください。
 とても素晴らしいサーカスをご覧頂けますので。


 からくりサーカス。皆々様はご存知でしょうか。
 週刊少年サンデーにて1997年〜2006年まで、計9年間連載され、全43巻で完結したお話でございます。

 私はというと「ほんのちょっと」聞きかじっていました。
 たまに読むサンデーにからくりサーカスが丁度載っていて、途中から読んだものだから話はよくわからない。
 ただ、「しろがね」という美しい人形のような女性と、人形たちと、「鳴海」という強い青年、そして「勝」という少年がいることはわかってました。
 それくらいの「ほんのちょっと」です。

 さて、そんな私が何故からくりサーカスという漫画を読むに至ったのかというと、「アニメ化」がきっかけです。
 そう、アニメの第1話を見ました。
 アニメは10/11(木)の22:30からTOKYO MXなどで放送開始しています。
 私の先程の「ほんのちょっと」の情報はアニメで綺麗に繋がりました。
 父の莫大な遺産を相続した少年「勝」、彼が助けを求めたサーカスのビラ配りの青年「鳴海」、そして「勝」を助ける使命を帯びた麗しのひと「しろがね」、彼女が繰り出すあやつり人形「あるるかん」、襲いくるは「自動人形(オートマタ)」たち。
 物語はそんな彼らの出会いから始まり、様々な出会いと別れを経て、彼らの関係性は始まりから大きく「変わり」、そして終わるべくして終わります。

からくりサーカスとは、「変わっていく」物語だと感じた


 泣き虫で逃げてばかりだった少年「勝」は、「鳴海」との出会いで諦めずに笑って立ち向かうことを学び、失ったものを心に抱きながら成長し「変わって」いきます。
 人を笑わせないと死ぬ奇病「ゾナハ病」にかかった青年「鳴海」は、世界中にいる同じ病気で苦しむ子供たちのため、彼らを守るためにと強くより強く「変わって」いきます。
 人形のように表情を変えない女性「しろがね」は、心が揺さぶられる出会いと別れを経て、家族と呼べる仲間を得て、自然に微笑むことができるような人間らしいひとへと「変わって」いきます。

他の登場人物たちもまた、誰しもが「変わって」いく


 34巻60・61ページの「勝」の言葉を引用するとわかりやすいでしょうか。

「守りたい人がいれば、僕だって変わっていける。僕だって進化していける。」

「誰も見ていない暗闇でずうっと同じ芸を繰り返す自動人形は、進化できるの!?」


 「勝」はいいます、「人間」は変わっていける。「自動人形」は変わることができない。ただ繰り返し命じられたことをなぞるだけの機械人形。
 「変化」こそが人間に与えられた宝であり、それがある限り人間は立ち止まらず、前へ歩んでゆくのだと。
過去のどのような失敗すら呑み込んで、未来を目指すのだと。


 「変われない」のならば、それは人間であっても人間とはいえない。
 「変われた」のならば、それは人間でなくともきっと人間なのではないか。

からくりサーカスは、人々が「変わって」いく物語


 初登場時はあんなに憎たらしかったアイツも、嫌悪感を抱かせたアイツも、どうしようもないと思わされたアイツも、懲りないと呆れてしまうアイツも、みんな「変わって」いく。


 では、何故変われるのか。


 それはきっと誰かとの「出会い」があったから。


 強い男の背中を見たから、一目惚れをしたから、守ってくれる優しい腕があったから、叱り飛ばしてくれる母親がいたから、家族のような仲間たちと出会えたから、逃しがたい敵を見つけたから。
 それは様々な出会い、千差万別。
 運命的であり、偶然のものであり、愛する人であり、憎い相手であり、敵であり、味方であった。


 誰しもが誰かと出会い、変わり、前へと進んでいく。


 是非、1巻から大きく「変わった」彼ら三人と、その仲間たちの活躍をご覧くださいませ。


 私はアニメをきっかけに当時無料開放されていた5巻まで読み、最初は耐えていましたが続きが気になって仕方なくなり、全巻まとめ買いしました。
 でも、そうでなくとも構いません。
 勿論原作漫画に触れることを推奨したいですが、人の「出会い」は千差万別。漫画を試しに1巻だけ買っても、漫画喫茶で読んでも、友人から借りても、アニメを見るのでもいいでしょう。
 無理に漫画を読むものではないし、絶対に触れろとはいいません。こういうものは自分の中で「触れたい」と思う気持ちが大切だからです。
 ただ、この私の文章を読んで、少しでも興味が出たのなら、ちょっとくらい触れてみようと思えたのなら、心にとめておいてください。
 「からくりサーカス」という物語があることを。

私は最終巻である43巻を読んでいる間、ずっと泣いていた


 変わった彼らの今に泣き、成果に泣き、辿り着いたもの、得たものに泣かされました。
 キーワードは「笑顔」。そこが一番好きなシーンです。
 私はおかげさまで、とてもとても、愉快で心躍る、胸が張り裂けそうになる素晴らしいサーカスを見ることができました。
 それを是非、貴方にもご覧頂きたいと思ってしまうのです。


 よろしければ「からくりサーカス」、愉快で胸を打つサーカスに、触れてみてくださいませ。